記憶の道しるべ

夢中で目の前の仕事に没頭している時、その目まぐるしい時間の流れや、背伸びをしなくてはならない苦しい気持ちを感じながらも、どこかで「この瞬間を、絶対にまた思い出す時がくるだろう」という考えが、はっきりと頭のなかを駆け抜けていく時があります。それは、まるで予感のように。これは、失敗や辛いことばかりではありません。初めて招かれたレストランで、鮮やかすぎる真っ白なテーブルクロスに、神経質なほど美しくアイロンがあててあったことや、先輩に連れられて扉を開けた、ブティックのフロアが、まるでスポットライトが照らし出す舞台のようだったことも、つい先ほどのことのように思い出します。「この瞬間」はふいにやってきて、その時私たちは、自分自身がもうひとりいるのだと感じるのです。この場面を見ている自分と、のちのちそれを思い出す自分。

そして記憶に残る瞬間は、なぜか少し頑張っている時が多いのです。そうやって少しずつ積み重ねてきた瞬間を、人は経験と呼ぶでしょう。いつの間にか大人になった私は、しっかりとアイロンをあてたシャツを選んで、今週がんばったご褒美に、お気に入りのレストランの扉を開けている自分に気がつくのです。「あんなに緊張した記憶」や「こんなに辛かった時間」はいつの間にか、心の拠り所になっていて、歩いてきた道を「なかなかいいじゃない」とでも言いたげな顔で、もう一人の私が満足げに微笑んでいる、そんな気がするのです。

自分を解(ほど)く

最近、自然を身近に感じたのはいつですか? 鳥のさえずり、木々の枝が風に揺られて重なり合う音、一晩降り注いだ雨が、土の下を流れていく水の音。木々が発する独特な香り、花や実が放つ鮮やかな色。すっぽりと自然の中に包まれた時、大きなエネルギーを感じます。それは、自然を形づくるさまざまな要素に、ストレスを軽減させてくれるなどの科学的なエビデンスのあるものが詰まっているから。

人間は、日の出、日没、夜明けの24時間に起こる環境の変化に、自己の体内時計を同調させながら生きています。ただ、実際にはそれが難しく、不規則な生活習慣になってしまいがち。肌の「今の状態」は、不調や疲労を映し出し、日夜サインを送っています。そんな日々の生活の中で、簡単にセルフメンテナンスできるよう開発されたのが、全身用のボディ用乳液「THREE バランシング フルボディ エマルジョン」〔10月28日(水)より発売〕です。保湿やリラックス効果などの「見た目」や「心地よさ」へのアプローチにとどまらず、体内の深部で絡み合う、複雑な要因をリセットしていくことを目指した新しいアイテム。このエマルジョンを実践的にマッサージに活かしていただけるよう開発された、THREE独自のトリートメントメソッドについては、回を改めてお伝えしますね。

さて、話を「自然」に戻しましょう。このフルボディ エマルジョンの香りは、森林浴をイメージした精油のブレンドです。高品質の植物油が贅沢に配合された乳液は、さらりとしたつけ心地。つけた瞬間から、森の奥深くへと誘われていく感覚を味わうことができ、深い呼吸を促してくれることでしょう。簡単に自然の中へ足を運ぶことができない私たちの1日のなかで、ほぐしてゆるめ、自分の手で自らの肌と会話をし、向き合い、自分を解放する。まるで森のなかを歩いているかのような時間。これこそが私たちには今、とても大切なのだと思うのです。ぜひ、自分と対話する習慣を毎日の中につくってみませんか?

自分モードの時間を持つ

私たちは日常生活の中で、自分自身が紡ぎ出した時間をどれだけ過ごせているでしょうか。決まった時間に職場に行き(リモート会議に出席するためにパソコンを開き)、カレンダーに予定されているミーティングや用事をこなしていく1日。わずかな、隙間のような時間でSNSに目を通し、誰かが発信する言葉や写真に共感し、ランチタイムには同僚や友人の話に耳を傾け、移動中は色鮮やかな広告に目を走らせる。帰宅したら食事を作り、誰かと話をしたり、ニュースを観る。よくよく行動を見つめてみると“受け取る”アクションがとても多いことに気がつきます。これは、頭の中が“他人モード”で生きている状態なのだそう。目の前で起きた出来事に対して、自分がどんなふうに感じるか? に意識を向けることはつい後回し。

1日にたった10分でも、自分自身でいられる時間を作ってみてはいかがでしょう。今日は涼しいから、少しゆっくり歩きながら近所の公園を抜けて行こう。積んだままの本を引っ張り出して、ランチタイムにじっくり読みふけろう。週末少し長めに時間が取れたら、美術館に出かけてみてもいい。不思議と、脳内が静かになっていくのがわかります。24時間の中に、余白の時間を作ってみるのです。人はもともとひとりであることを、思い出していきます。それをしっかりと感じることができた時、自分の感覚がくっきりと浮かび上がり、大事にしたいものが何かを感じるでしょう。いつでも騒々しい日々に戻れるのですから、勇気をもって“自分モード”の時間を持ちましょう。研ぎ澄まされた自分を取り戻すために。今日に余白ができたら、あなたは何をしますか?

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