創造し続ける心

美しいものに心惹かれる気持ち、美を感じる気持ち、美しさの秘密や秘訣を知りたいと思う気持ちは、人間が持つ本質的な欲求だと思います。

クリエイター、カメラマン、デザイナーなどの仕事に就く人は、より「美」と向き合うことを仕事として選んでいるわけですが、本来「美」とは、彼ら彼女たちだけに求められる特別な感覚ではありません。Apple社初期にマウスを生み出した、米国カリフォルニア州に拠点を置くデザインコンサルティングファームの創設者は、「どんな人も自分の中に創造力を持とう」とメッセージを発信しました。そう。クリエイティブな感性を持つことは、特定の仕事にのみ必要とされるのではなく、誰もが美しいものに惹かれるように、私たち一人ひとりの内から湧き出てくるものなのだと思います。

たとえば、自分の家を整え、庭を手入れし、家の前の道を掃き、好きな衣服を身につけて、好きな家具や器を選び、好きな本を読むことも、すべて「美を創り出す」こと。季節の野菜を選んで今夜のメニューを考えることも、職場のエントランスに花を一輪選んで飾ることも、自分の感覚で「美」を選び取ること。

磨かなければ鈍くなってしまう「創造力」は、日常の中から始まっています。私たち一人ひとりの人生の中にこそ、美しさに心惹かれる楽しさを持ち続けていたいものです。

空間を香りでデザインする

いつもの通勤路を歩いていると、ふと鼻先をくすぐる甘い香りが漂い、あ、クチナシの花が近くで咲いているのかな? と目を泳がせます。儚い白いクチナシの花。可愛らしい繊細な花びら全体から流れでる芳香。香りを嗅ぐだけで、空気が変わり、人びとは足を止め、吸い込むだけで、気持ちがふと明るくなります。そう、香りには本当に不思議な力があるのです。外に出て、思いきり緑や花の香りを吸い込むことがままならない日々が続きますね。深呼吸し香りを吸い込む、そんな自然なアクションが、今更ながらとても恋しいと思います。

私たちはいま、多くの時間を家の中で過ごします。大抵の場合、リビングや寝室も、テラスやエントランスも、それらの場所はひと続きに繋がり、境界線は曖昧です。その空間にふさわしい香りがあったら? 気持ちをすんなりとセットでき、心と空間の歩調が合っていくのではないでしょうか。

先週金曜日にTHREE ホームフレグランスが発売になりました。空間に合わせて、天然精油を用いた3つのブレンドをご用意。エントランスやリビングなど対話やコミュニケーションの場所にぴったりで、清々しく明るい気分をもたらす香りの「オープンマインド」。リモートミーティングをするプライベートなデスク周りや、ライブラリー空間などにおすすめの、集中力を高めてくれるような香りの「ポッシビリティ」。そして3つ目は、バスタイムの後やベッドルームなどのリラックスタイムにふさわしい「レリーヴド」。

心を整え、深い呼吸をしたくなるような、THREE ホームフレグランス。一日中自宅で過ごしたとしても、場面や空間ごとに香りを使い分けながら、空間に溶け込んでいくようなやさしい香りと過ごせば、きっと心も空間も揺らぎながら整っていくことでしょう。

3つの香りで、日常の過ごし方に、自分らしいオンとオフのスイッチを見つけてみませんか?

映画の中の人生

人生のさまざまなドラマ、お腹を抱えて大爆笑するエンターテインメント、時代を象徴するファッションが感じられるモノクロのほか、ドキュメンタリー、SF、推理もの、ヨーロッパの小作品、インドの喜劇、アニメからホラーまで、映画のジャンルは多岐にわたります。テレビドラマやニュースとは何かが違う、映画の世界。コロナ禍で、世界中を簡単に旅することができない今だからこそ、映画は私たちの心が癒される大切な存在にもなると思いませんか?

さて、映画を観ているときに度々感じるのが、「時間」の果てしない長さです。たった2時間という上映時間に、無数の人生が描かれます。それは幼い頃の回想録のようであり、タイムスリップした自分の人生の結末のようでもあります。興奮や、成し遂げる喜び、己の可能性、未だ体験したことのない「時間」。後悔や、すれ違い、伝えたかった気持ち、二度と戻ることのできない「時間」。映画はいろんな時間を見せ、私たちに静かに語りかけます。

「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989年)は後世に語り継がれる映画の一つ。沢山の繋ぎ合わせたキスシーンフィルムが上映されるラストシーンはあまりにも有名です。これこそ、まさに空白の時を語る言葉なき言葉。銀幕を一人見つめる主人公トトの目が輝いていく。このシーンも捨てがたいけれど、この映画の後半で、年老いた母親が、村に帰省した息子トトに向かって語りかけるシーンが好きなのです。「お前に電話をすると、いつも違う女性が出る。でもお前を、心から愛している声をまだ聞いてない。聞けばわかるわ」と。ほんの一瞬登場する母親が語るこの言葉に、彼女の人生の長い時間も語られているのです。

映画は、静かに力をくれます。映画は静かに、人生に寄り添ってくれるのです。映画を観た後に、ふと、自分の人生が思い出される。そんな素晴らしい作品に出会えますように。

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