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開演時間の直前、女優たちが楽屋でさまざまな準備を忙しそうにしているのだけれど、その時間がたまらなく美しいので、あつかましいけれど女子楽屋にはかならずぼくが座る椅子を用意しておいて、彼女らが舞台に上がるまでの一部始終を観察する。

beautyrelay

何人かがドライヤーを当てる音が楽屋に無機質に響いていくのが、開演時間が迫ってきている緊張感を少しずつ高めていく。
スタイリストさんやもしくは共演者同士で黙々と髪型をつくっていくときに、髪をとかす音やシューっと短めのアイロンの音が細切れに聞こえてくる。

オイルやワックスの匂い。
女優の髪って一体、なにを含めたらそうなるのだろうってくらい、本当に含めているもの以上のなにかが含まれている。
それを単に、色気とかそういう言葉で片づけたくない。
もっと抽象的ななにかを込めている気がする。

顔のどこか、なにかラインをいれるとき、鏡にグッと近づく姿。
意識がすーっと、そこに集中しているのか、その瞬間は周りのことを気にすることができない。
鏡のなかの自分のそれだけに集中するときの表情ほど美しいものはないのではないか。

座席からすこしだけおしりを浮かす。
つま先がすこしだけ震えている。
気を遣えるとかいう言葉があって、気を遣えるひとは評価されるし、たしかに気を遣えることはよいことなのかもしれないが、ぼくは気を遣えることがかならずしもよいとはおもわない。

気を遣えるという言葉のなかにある、誰を対象にした気を、遣うのだろうという不気味さをおもうと、やっぱり気を遣えるという言葉はあんまり好きじゃない。
まったく気を遣っていない瞬間が、楽屋には詰まっている。

なにかを纏う時間。
これから舞台に上がって、二時間くらいの上演時間を観客の目にさらされた場所で過ごす。
自分のために自分を纏う時間が、やがてそれは観客のための時間へと広がっていく。

髪に触れる、化粧をする、衣装を着る。
ひとつひとつの手つきに、ある覚悟があって。決断があって。
そういう特別な時間をぼくは見つめていたくて、楽屋のいちばんぜんぶが見渡せる席に座る。
うっとうしいだろうが、そこに座っている。
女優がどういうものをつかって自分をつくっていくのかを観察する。
みんなそれぞれ手順がちがうのも、見ていて興味深い。

肌に色を重ねていく様子。その時間は、とても美しい。
やがていよいよ開演時間が迫ると、静寂に包まれる。
女優たちは舞台へ何も言わずに向かっていく。そして楽屋はからっぽになってしまう。
からっぽになった楽屋が、これまたよい。
さっきまでここで、彼女たちは準備をしていた。黙々と自分のために。
そして舞台に存在する嘘の時間のために。

嘘はあたかも、よくないって印象だけれど、嘘がなくちゃ生きていけない。
世界のぜんぶがじつのところ嘘であってほしいとすらおもう。
舞台にて、嘘をつく準備をさっきまでここでしていたのだ。
からっぽの楽屋。
彼女らがつく嘘ほど、美しいものはない。

2016.February.25(Thu)

– THREE QUESTIONS –

Q1 人間としての「美しさ」は、どんなところに表れると思いますか?

A1 祖母の手の甲の光沢。いろんな時間を物語っている。

Q2 パーティーのときや大切な人に会う前日など、「美しい自分でありたい」オケージョンの際に、必ずとる行動や習慣は?

A2 ごはんをしっかり食べる。

Q3 お気に入りのTHREEアイテムは?

A3 スキャルプ&ヘア リファイニング シャンプー。乾燥しやすい頭皮なのですが、とても気持ちよくつかい続けることができています。




藤田 貴大さんのお気に入りアイテム一覧

・THREE スキャルプ&ヘア リファイニング シャンプー

<藤田 貴大 FUJITA TAKAHIRO>

マームとジプシー主宰/演劇作家。1985年生まれ、北海道伊達市出身。2007年マームとジプシーを旗揚げ、以降全作品の作・演出を担当。ほぼ2ヶ月に1作という驚異的な数と質で作品を発表し続けている。11年以降、さまざまな分野の作家との共作を積極的に行う。11年6~8月に発表した三連作「かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと、しおふる世界。」で第56回岸田國士戯曲賞を26歳で受賞。また、共作漫画「mina-mo-no-gram」(秋田書店)や「cocoon on stage」(青土社)、初の短編小説である「N団地、落下。のち、リフレクション。」(新潮社)の出版など、活動は多岐にわたる。
http://mum-gypsy.com/

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THREE TREE JOURNAL

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しなやかに生きる洗練された大人の女性たちへ

THREE─「3」は、「創造」の象徴。また、相反する2つのものを組み合わせることで、3つめの新しい価値を創造すること。

「THREE TREE JOURNAL」とは、そんな創造力を持ち合わせた「しなやかに生きる洗練された大人の女性」たちに向けて、五感を刺激し、豊かな感性を育む、新しいウェブジャーナルです。

THREEがもつ世界観やイメージを通して、感性を揺さぶり、語りかけ、共感、共鳴することで、THREEというブランドをより身近に感じていただくための試みであり、読者自らが興味を開拓し、アクションを起こすきっかけとなるようなコンテンツをご紹介していきます。

関わる人々が、自分自身をより高めることができる場のひとつとして、お互いの価値観を共有し、関係性を深めてゆくことを目指す「THREE TREE JOURNAL」を、どうぞお楽しみください。

To sophisticated adult women who live elegantly

Three—’3′ is a symbol of ‘creation’. It is the creation of a third new value by combining two contradicting things.

“THREE TREE JOURNAL” is new web communication contents for ‘sophisticated adult women who live gracefully’ possessing such creativity, where they can cultivate their rich sensitivity and stimulate their five senses.

It is an attempt to have them feel the THREE brand more closely through every expression, image and world view that THREE has by the brand, participating creators and users stimulating each other’s sensitivities, talking, identifying and relating. We’ve prepared contents as a springboard where the users themselves can develop new interests and take action, and generate reciprocal communication.

Please enjoy “THREE TREE JOURNAL” where we aim to deepen relations and share each other’s values as a place where those involved can cultivate themselves.

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